当社がゴールドパートナーとして活動しているCompTIA日本支局マーケティングディレクターの吉村睦美様からのコラム第4回をご紹介いたします。今回は、DX(デジタルトランスフォーメーション)と人材育成について説明していただきます。
今回のコラムでは、もうこの言葉を聞かない日はない!というくらいの用語になってきましたDX(デジタルトランスフォーメーション)と人材育成について考えてみたいと思います。
多くのみなさんがすでにご存じの内容と思いますが、改めてDXをさらっと復習してみたいと思います。
2018年に経済産業省がDXレポートをリリースしています。
このレポートでは、DXを(青字は、レポートより引用)
多くの経営者が、将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネス・モデルを創出・柔軟に改変するデジタル・トランスフォーメーション(=DX)・・・
と定義し、DXの取り組みに関する課題、そして、この課題を克服できない場合、DXが実現できないのみでなく、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性(2025年の崖)
としています。また、IT人材の不足が問題とされる中、レガシーシステムの保守・運用のためにIT人材が「浪費」されることも問題としており、これを解決するためにもDXの推進が重要とされています。政府もこれだけ強力に推進しているDXですが、では、実際はどのくらい進んでいるのでしょうか。
同省が2021年に発表した「DXレポート2中間取りまとめ」では、企業の取り組み状況がこのように報告されています。
・95%の企業はDXにまったく取り組んでいないか、取り組み始めた段階であり、全社的な危機感の共有や意識改革のような段階に至っていない
・現在のビジネスモデルの継続を前提としている企業、部分的なデータ分析にとどまっている企業が多く、変革への危機感の低さが垣間見える
とされています。
さて、この2つのレポートの間には、コロナウイルス感染症によりさまざまな影響がありました。コロナ禍では、今まで紙でやり取りしていた請求書をWebベースで発行したり、緊急事態宣言によるリモートワークでほとんどのミーティングがオンラインになったり…となんとなく、デジタル化は進んできました。希望をしていたか否かにかかわらず、デジタル化が強力に推し進められたことは、ビジネスにとってはよい結果をもたらしたといえます。ただ、DXの観点からみるとデジタル化は、一つの側面でしかなく、業務にデジタルツールを導入することや、オンラインミーティングをすることは、DXの本質ではありません。DXの本質は、最初の定義にあるようにデジタルを活用して新たな価値を想像することであることを忘れてしまっては、本末転倒となってしまいます。
そして、業務のデジタル化を越えた組織横断的に行うプロセス変革のためには、「DX人材」が必須であると言われています。
CompTIAでは、多くの企業からの「DX人材」の育成といった課題に応えるべく、DXワークフローに基づいて、人材育成を考えるサポートをしています。
詳細については、下記のブログに詳細が書かれていますので、ぜひご覧いただければと思います。
DXをワークフローで考え、資格を紐づけてみる:CompTIA シニアコンサルタント 板見谷 剛史
DXをワークフローで考え、資格を紐づけてみる
このブログでは、「DX人材」という言葉にとらわれることなく、DXをワークフローと捉え、このワークフローの中で自社はどこが足りなくて、どの部分を強化する必要があるのかを認識しながら人材を育成していくことが重要としています。
また、同ブログでは、このワークフローに認定資格をあてはめ効率的な人材育成の方法を提示しています。以前よりご案内をしていますが、CompTIA認定資格は、各業務を遂行する上で必要とされる必須のスキルを網羅した認定資格のため、ワークフローにおける各業務での人材育成を検討する上では、とても有効な方法です。
ぜひ、ブログをご覧いただき、どんな認定資格を使って人材育成をすることが可能なのか、ご確認をいただければと思います。
私が「DX推進」を謳うサービスやソリューションを見るたびに疑問に思うことがあります。それは、「このツールを使って・・・」「このソリューションは・・・」という方法論が先に来てしまうことです。まずは、「なぜ」その業務でDXを推進するべきなのか、「なんのため」にDXを推進するべきなのかを、経営層、IT部門、業務部門が一緒になって検討することが重要です。そして、この検討を推進できる人材こそ、「DX人材」なのかもしれません。
吉村 睦美
CompTIA マーケティング ディレクター
SI企業の営業、米国大手コンサルタント企業などを経て2005年よりCompTIA日本支局にて、認定資格の普及啓蒙のためのマーケティングを担当。認定資格を利用したITに携わる人材の発展のため、様々なプロモーション活動を行う。